オタクの間でひっそり話題になっている(と個人的には思っている)『浪費図鑑』を読んだ。

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

  • 作者: 劇団雌猫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/08/08
  • メディア: 単行本
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この本は本文からの引用を用いて一言で表すと“(オタク女たちの)浪費(事情を紹介する)図鑑”である。ソシャゲやアイドル、ホストなど、実に様々なジャンルで浪費しているオタクの赤裸々な告白が掲載されている。ちなみに書籍には未収録だが同人誌ではジャニーズに浪費する女(JUMP八乙女担)も登場している。

昨年末に発売された同人誌『悪友 vol.1』からの増補改訂版として出版されたこの本。同人誌の方も既に読んでいたが、今回の書籍化で新たに収録された振付師・竹中夏美さんへのインタビューのある部分が印象的だった。それは、関係者視点でファンの浪費について語っている場面である。

―(中略)まず、アイドルにとってぶっちゃけ「されて嬉しい応援」って何だと思います?女子アイドルだと、例えばCDをたくさん買うとか、いっぱい現場に足を運ぶとか?

竹中 どういう内容だとしても、一番嬉しい応援は、たぶん「肯定」じゃないですかね。
(中略)
竹中 ざっくり言うとですが、本当に一番は「肯定してあげること」だと思いますね。会いに来る頻度とか回数とかじゃなくて、肯定の精神を見せてあげること。アイドルをたくさん褒めてあげることです。(中略)

―なるほど、「在宅」のオタクでも、浪費しなくても、肯定することはできる。
(中略)
―とはいえ、「好きなアイドルに課金したい」というオタクの心理もあります。我々の課金でアイドルのモチベーションが上がることはありますか?

竹中 うーん。アイドル本人からの視認しやすさという点では「課金」よりも「集客」の方が、モチベーションにつながるみたいですね。

―一人が大金をはたくよりも、大勢の「集客」……。まあ、当然ですよね。

竹中 (中略)いいねよりリツイート、の精神が大事ですね。

“アイドルをたくさん褒めてあげる”。“いいねよりリツイート”。これぞまさにオタクにとっての金言ではないか。褒めるだけなら現場に行けない茶の間オタだって出来る。何ならツイッターやブログを使って褒めれば、もしかしたらエゴサした本人の目に留まる可能性すらある。

元々自担は褒めて褒めて褒めちぎるタイプのオタクである自負はあったが、これを読んで一層そのスタンスを貫くことを誓った。だって、ファンがアイドルを落ち込ませてどうする?アイドルはファンの前ではただただキラキラ発光していればいい。ヘコむのはわたしたちの把握できない裏側で散々やっているだろうし、その原因をつくるのはただの一般人でしかないファンの仕事ではない。

ちなみにこの話題は数日前にほぼ同じ内容がツイッターで拡散されているのを目にしたので二番煎じどころか何番煎じかは不明だが、大事なことは繰り返し言っておこうの精神の下にキーボードをぱちぱち叩いている。

 

また、別の項では浪費女が集ったイベントの対談内容が収録されており(これも同人誌未収録)、そこにゲストとして登壇した地下声優で浪費する女シャチホコさんと、あんスタで浪費する女ウォンバットさんがこんなことを話している。

シャチホコ 大きなお金を使ったときって後悔もするけれど、その後悔が気持ち良いって部分もあるでしょうしね。

ウォンバット 私は後悔したこと、ないです。お金を払って後悔するようになったら、もうそのコンテンツは辞めどきだとおもいます。

過去に錦戸担からフェードアウトした時の自分がまさにこれだった。お金をかける気が次第に失せていったことで自身の興味関心の薄れ具合を自覚した。7年間も同じ人を好きでいたくせにこんな終わり方ってあるのかと当時のわたしは思ったが、自然発生的な行動は嘘をつかなかった。金銭をつぎ込むことだけがオタクの正しいあり方ではないが、この経験から自分にとってオタクを続けたいか否かの指標はそこにあると思っている。

 

横尾さんに興味を持つようになってから、たくさんの人に様々な作品をおすすめされ、手に入れられるものは片っ端から手に入れた。一時期は金の力を駆使しすぎていたように見えたのか、ツイッターのフォロワーさんから心配されることもあった。そして観賞後はツイッターで良かった点や見どころをTLを賑わすのを承知で意識的につぶやいた。その姿勢は今も変えていない。それは自分用の忘備録としての意味合いが強かったが、そのお陰で話しかけてもらったり知り合いになったりした人もいて、自分のためにやっていたことがちょっとしたプラスアルファを生み出したことは素直に嬉しかった。

推しのために金を使いたいと思わなくなるその日まで、わたしは生活が破綻しない程度に金を使って素晴らしい自担を拾い集めて褒めて、一人でも多くの人にその良さを伝え広めていけるよう努力する所存である。何なら自担がいま現在生きていることすら褒めてあげたい。

同じ時代を生きているだけで奇跡だよ、ありがとう。